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ビバリーヒルズの紋白蝶

 10/8文学館にて。
http://www.yamanashi-nponet.jp/vboard/detail.php?m=516&i=2421
 今年のアートフェスタ貢川で演劇はハロー山梨のみ。もう国中[くになか]の演劇文化を藤谷清六氏が一手に支えているような印象だ。劇団という形を取っていないので、毎度いろんな人が出演する。中にはかなりの初心者も入っているだろう。そんな人達にも舞台に立つ機会を提供するこの試みはとても素晴らしいと思う。うまい人もそれなりの人も、みんなちゃんと「役」になって動いていた。かなりの人数が登場するが、それぞれ「キャラが立った」脚本だったという事なのだろう。そして役者もよくそれに応えていた。

 1軒の家の中のふたつの部屋で展開するシチュエーション。藤谷氏はこの「シチュエーション」はとても丁寧に緻密に描いてくれる。しかし、シチュエーションを重ねただけで自動的に一本の芝居に紡ぎ上がらないというこれはいい例とも言えよう。ところどころ面白かった。しかし全体としてはやっぱりつまらなかったのだ。脚本を書き上げた所で彼の中で完結してしまったのだろうか。正直、演出というものの存在があまりにも希薄に感じられた。

 彼は山梨で芝居に手を染め始めた頃、無料で公開していた。「自分の道楽につきあわせるのだからお金なんか取っては申し訳ない」と言う彼に僕は進言した。
 「無料はよくない。見る側は軽んじるし、見せる側も責任感を持ち難い。5百円取りなさい」
 今もその気持ちは変わらない。いや実際、僕は彼のファンだから5百円なら毎回自腹でつきあうけど、今の自分の生活水準からすると申し訳ないが千円だったら毎回はつきあえないかも知れない。今回だって招待されたから行ったが、今の水準で千五百円(前売)を払ってまで観たいかと自らに問うとちょっと答えに詰まる。

 正直、まだまだ「発展途上」な感は大だが、確実に進歩している。もうかつて観た県内の老舗劇団の水準には追いついているんじゃないだろうか。至らぬ点は多々あれど,その分追い抜いている点も少なからずあるように思う。そして何より重要なのは「発展途上」であるという点だ。ハロ山の芝居は今後も着々とレヴェルを上げてくる。今はその進捗をこの目で確かめるのが楽しみだが、芝居そのもので楽しませてくれる日も遠くないかも知れない。
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by sompi1 | 2011-10-09 02:05 | レヴュー | Trackback | Comments(0)