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キラーモーテル

 テアトル石和で8/18、映画「キラーモーテル」の舞台挨拶があった。19:30より映画上映、21:00から舞台挨拶。セットで2千円のところ、前売りで1,800円。普通の映画一本分じゃん。さすがテアトル石和。




 ホラー映画と聞いていたし、実際ゾンビも出てきたりするのだが、敢えて分類するなら「ホラー」よりは「サスペンス」に近い気がする。ラストのややショッキングな結末に至ってはもうSFと呼んでもいいかも知れない。
 サーヴィス満点にいろんな要素を詰め込み過ぎて少々(いや、かなり:苦笑)とっちらかった感はあるが、さすが井口監督と「ロボゲイシャ」(※)を作ったスタッフ、お下品さで照れ隠しをしながらヒューマンな背景をチラ見せする。
 観終えた後、一瞬、今劇場を出たら渋谷の街なんじゃないかという錯覚に囚われた。シアターNがまだユーロスペースだった頃、何本かこんな雰囲気の映画を観たような気がする。こういう映画を山梨で観られるのは極めて稀有なのだ。たまたま全篇山梨ロケの作品だからテアトル石和も頑張ってくれたけど、テアトル石和も商売だからこういう「観る者を極端に選ぶ」映画はそうそうはやってくれない。井口監督の「おいら女蛮」も渋谷で観たんだっけ。

(※)甲府東映が気紛れに井口作品を上映する事があり「ロボゲイシャ」「戦闘少女」は甲府で観る事が出来た。「おいら女蛮」は渋谷、「電人ザボーガー」は新宿まで観に行った。「片腕マシンガール」は東京まで行けなかったのだが、後に八代みなせ氏とお目にかかる機会があり観ておかなかった事をちょっと後悔した。

 主人公達が泊まった旅館で次々に宿泊客が襲われる。その犯人は…と書けば割と普通のサスペンスのようだが、登場人物の中で一番常識を欠き人間離れしているのは主人公、という設定は極めて斬新かつ大胆な発想の転換だ。ゾンビでさえ人の心の片鱗を残しているというのに。
 正直「一本の映画として」の完成度という点では微妙ではあるが、見所は結構あると思った。おっぱいとか、おっぱいとか、おっぱいとか(笑)。井口監督の「おいら女蛮」がそうだった。その井口監督も今や世界の井口。小川監督がいつ井口監督のライヴァルになるか、楽しみだ。

 「最近のゾンビって動きが速かったりするじゃないですか。この映画ではオーソドックスなのろいゾンビが、あるきっかけで速いゾンビになります。のろいゾンビと速いゾンビの両方を楽しめる映画になりました」
 ゾンビ映画の生みの親ロメロでさえ速いゾンビに閉口しているというのに、この監督は敢えてそこに踏み込んでいる。今年は井口監督も「ゾンビアス」を発表しているらしい(知らなかったんだよー、観てないんだよー:泣)が、この点だけは負けてないと思う。ただし、くどいようだが「キラーモーテル」はゾンビが登場するがゾンビ映画ではない。…いや待て、御大ロメロでさえ「本当に怖いのはゾンビじゃないんだ」というメッセージを大事にしているから、その意味では正統派ゾンビ映画と呼べない事もないのかも知れない。

 舞台挨拶のため監督・小川和也氏、主演の伊藤えみ氏、主題歌&出演の宙(Sola)氏、そしてエピローグに登場する映画初出演のよしもと「山梨住みます」芸人ぴっかり高木氏+いしいそうたろう氏がやって来てくれた。迎える客席はちょっと申し訳ないぐらいまばらだったが、皆さん田舎を承知で来てくれたのだろう。全篇山梨ロケの作品をようやく山梨で公開するとあってか終始にこやかだった。東京ではなかなかお目にかかれない昭和レトロの映画館も嬉しかったのかも知れない。
 それにしても、テアトル石和。「二番館」を名乗っているのに県下初上映の作品が実に多い。これって、どうよ。県内の一番(メジャー)館を嘆くより県民の文化水準を恥じる。甲府市内では映画館が次々に閉館してもう2社7画面しか残っていない。映画業界自体は少しく元気を取り戻しつつあるというのに、侘しい事だ。

 フォトセッションでわざわざ目線をいただいた。
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 でもストロボ使わないこっちのが雰囲気いいかな?
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 当日は10キロばかり離れた所でギリギリまで仕事していたため上映開始寸前(もう予告は始まっていた)の駆け込みになってしまい準備を手伝えなかった。舞台挨拶のためのPAがトラブるのを防げなかったのはちょっと残念だった。MCのいしい氏の機転で「いいよね、生声で」と話の流れを切る事無く進行したのはお見事だった。が、舞台慣れした芸人の二人は百人級ホールの隅まで届く声で話せるのだが、小川監督や本業がモデルの伊藤氏にはちょっと厳しかったかな。申し訳ない。でも、そのおかげで宙氏の生歌が聴けたのはラッキーだった。
 伊藤氏は画面の中ではかなり汚してたけど、舞台上の伊藤氏はとてもキレイだった。フォトセッションでは退場しているが、実はもうひとり舞台に立っていた。特別ゲストで劇場裏の温泉旅館「富士野屋 夕亭」の若女将が客席から引っ張り上げられていたのだ。この映画を観た後半券を持参すると裏の夕亭で温泉に入れるというコラボ企画をやっているのだ。ついでに「2を作るなら是非夕亭で!」とPUSHしていた。彼女なら女将の役でも、犯人役だっていける(うわ何をす○▽☆)。
 終演後、劇場前で監督とちょっとだけラストシーンの話をしたのだが、その内容はネタバレになるのでここには書かない。監督と話したという自慢だけしておく(どや!笑)。舞台上の伊藤氏に花束を渡したのは実は劇場からの花束を代理で渡す役を仰せつかっただけなので自慢はできない。渡す時にちょっとだけ触れた彼女の手は柔らかくてあったかかった(やっぱり自慢するのか)。
 最後に、打ち上げに行く一行を店まで先導して皆さんと別れ、ひとり夕亭の風呂に入って帰ったのだった。フォトセッションでわざわざ目線まで貰ったので今日のうちに記事書いて宣伝しなくちゃイカンと眠い目を擦ってちょっと頑張ってみた。温泉入った後って眠いんだよ~(苦笑)。ご一行はあの後夕亭の風呂に入ったのだろうか。東京組は泊まらずに帰ると聞いていたし明日東京のどこそこで、なんて打合せもしていた。みんな頑張っているんだと思ったら僕もちょっとは頑張ってみようって気にもなる。

 余談だが宙氏の横文字表記は"Sola"になっている。ローマ字なら"Sora"になる所を敢えて"Sola"と書いてあるのを見て何年か前に観たアニメ"sola"を思い出した。あの時solaとはイタリア語で「独り」の事なのだと学んだ。彼の名前にもそんな意味が含まれているのだろうか。

 余談ついでに、舞台挨拶で舞台に上がるための階段は昨年2月に淡島千景氏のためにあつらえたものだ。その後秋山莉奈氏もこの階段を踏んでいる。客席両脇のソファもヘラルドの試写室を閉める時に貰ってきたものだそうだが、石和生まれのまだ若いこの階段もなかなかに箔がついてきたね。
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by sompi1 | 2012-08-19 04:02 | 催事 | Trackback | Comments(0)