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浅煎りコーヒー好き

 僕は浅煎りのコーヒーが好き。…だとずっと思っていた。
 しかし、エスプレッソ(最も深いイタリアンローストを使う)をおいしいと思う事もあったし、浅煎りなら必ずうまいと思うわけでもなかった。




 最近、好みのボーダーが「煎りの深さ」ではないのではと思うようになった。どうやら僕はコーヒーの「タール風味」が嫌いなのだ。いや正確には本当にそれがタールの風味なのかはまだ確認できていない。植物を煎るのだからどうしたってタール分は出るから、そうなんだろうと漠然と思う程度なんだが。もしかしたら間違っているかも知れないという前置きつきで、ここでは話を簡単にするため「タール風味」と呼ばせて貰う。

 うちから日常的に買いに行ける範囲の豆屋は何軒かあるが、実際にここ1年で買い物をしたのは

・珈琲問屋
・カルディコーヒーファーム
・タケイ珈琲店

の3軒。
 中でも問屋は生豆売りで「その場で焙煎」してくれる。文字通りの「煎りたて」が買えるのは魅力だ。器具なんかも豊富に置いてあって見て回るだけでも楽しい。焙煎時間はびっくりするぐらい短い。高火力の焙煎機を使っているのだろう。浅煎りを指定すると秒単位で管理された装置でものの3分ぐらいで煎り上がる。そしてさすが煎りたて、とても香りがいい。しかし、抽出したコーヒー液は何故かあんまり味がしない。
 カルディでは専らブレンドの「マイルドカルディ」を買う。200gで4百円ちょい。ブラジルだけ4種類もブレンドしているというから、一番安い品種でありながら店の名を冠しているだけあってこだわりの一品だ。煎りもあまり深くなく、充分飲むに堪える。それでも僕の好みよりちょっと深めなのでずっと飲みたいとは思わない。
 タケイは一番安い豆でも200gで860円とカルディの2倍もする。メーカー先行の深煎り流行り(深煎りは生産が簡単で浅煎りは難しい)の中にあって頑なに浅煎り推しを貫く。どこに引越してもまず「豆はどこで手に入るか」から生活が始まる僕だが、まだタケイ以上にうまい豆にはお目にかかった事がない。なので値段はカルディの倍だが、頻度を半分にしてもタケイの豆で飲みたいと思う。

 そんな次第で、僕はずっと自分を「浅煎り好き」だと思っていた。いや多分それは間違いないのだが、その背景に「タール風味が嫌い」というのがあったのではないかと最近になって気づいたのだ。だから浅煎りでも必ずしもおいしいと思えなかったり、そんなに浅くないのにおいしいと思ったりするのだとしたら、辻褄が合う。コーヒー飲み始めてもうすぐ40年だよ。人生いつまで経っても修行中だよなぁ。
 どうやら、高温高速焙煎だとこのタール風味が出易いらしい。タケイは比較的低温で時間をかけて焙煎している。その違いがコストになり値段にもなる。それは無駄でも無意味でもなかったという事なのだろう。いやしかし、それはあくまで「僕にとって」であり、そもタール風味なんか気にもならない人にとってはカルディの圧倒的な安さはとてもありがたい筈だし、問屋の煎りたてのそれこそ「フルーティな」香りの魅力も捨て難い。
 しかし願わくば、タケイ珈琲店が潰れずに永く存続して欲しいものなのだ。

追記>
 この夏も暑い盛りには湯を沸かすのが嫌でホットコーヒーを殆ど淹れなかった。
 その間は水出しコーヒーの世話になっていた。
 問屋とカルディは1回分ずつ袋に入った水出しコーヒーパックを売っており、ぼちゃんと水に投入するだけでお手軽だったので愛用していた。1杯あたりのコストはほぼ同じだったが、カルディの方が味が好みだったし都合もよかった。問屋のは1パック500cc分、カルディは400cc分。抽出したコーヒー液は日持ちしないので一度にたくさんできると急いで飲まねばならない。僕は外で飲料を買わなくて済むように500ccのPET瓶に水を詰めて携行するのだが、この時0.5-1割程度水出しコーヒーを入れた「コーヒー水」を愛用していた。水出しコーヒーはちびちび飲むにはいいがぐびぐび飲むには濃過ぎるので10-20倍に薄めたコーヒー水(ほんのり茶色でまず「コーヒー」には見えない)が丁度いい。水だけだと口寂しいが喉越しにほんのりコーヒー風味があるのが嬉しかった。一度ホットで入れて氷で冷やす「普通の」アイスコーヒーの作り方でも試してみたが、それだと薄めたらまずくて飲めなかった。僕は水出しが好きだ。作る時暑くないし(笑)。10倍希釈で消費しようとすると400-500ccって結構あるのだ。勿論家にいる時は原液ちびちびもやったけど。
 カルディのもうひとつの利点は、各パックが個包装されている事。問屋のは開封すると裸のパックが5袋入っているので別途密閉容器を用意しなければならない。カルディのはそれが不要だし、味見のため人にあげるのにも都合がよかった。しかし残念な事に8月後半になるとぱったりと店頭から姿を消してしまった。
 そして夏の最後に一度だけ、タケイのフレンチローストを買った。専用バッグに入っていなくても、うちにはハリオの水出しポットがある。イタリアンローストよりもフレンチローストの方が僕好みの水出しコーヒーになる。そして夏の最後に一度だけ買ったタケイのフレンチローストは…それこそ「がっかりする程」うまかったのだ。手間を惜しんで出来合いのパックを使ったひと夏をちょっと悔やんだ。
 最近は緑茶の水出しなんかもちょっと流行っているようで、ホームセンターに水出し用のバッグがある。ハリオの専用ポットを買う程の頻度で作らないというご家庭にもお薦めできる。近場で出来合いのパックが手に入らなくても手軽に水出しコーヒーが楽しめる。このバッグ方式を教えてくれたBOB's珈琲工房も割と近所なのだが最近ちょっとご無沙汰しちゃってるな。以前僕好みの浅煎り(ホット用)を実現しようとして何度もトライしてくれたのだが、小規模な自家焙煎の装置では難しかったようだ。
 冷水容器にぼちゃんと入れてドアポケットで8時間。このお手軽きわまる水出しコーヒーが実は最も理想的だったりする。喫茶店とかで見かけるあの高価でものものしい水出し装置は「室温抽出」なのだ。それに対して冷蔵庫内の温度は低く安定している。水出しコーヒーの味をご存知ない人、喫茶店のあのものものしい装置の味しか知らない人は、是非一度お試し戴きたい。
 いくら浅煎り好きとは言え、アイスコーヒーにホット用は「重い」ので深煎りを使う。それでも一番深いイタリアンではなく一段浅いフレンチローストを好むあたり、やっぱり僕は「浅煎り好き」なんだろうな。
Tracked from そんぴの近況 at 2013-07-01 00:32
タイトル : 今年も水出し
 夏になるとコーヒーも冷たいのが飲みたくなる。それは単に「熱い飲み物が嬉しくない」だけでなく、淹れる際に湯を沸かしたりするのが暑いというのもあるのだ。しかしアイスコーヒーの標準的な作り方はホットと同じように湯で抽出して氷で冷やす。この手順が普通で、結局アイスコーヒーってのは自分じゃ作らなくなっていったのだった。  水出しコーヒーというものがあるというのは随分前から知ってはいた。喫茶店に物々しい装置が置いてあり「ダッチコーヒー」なんて表示がついていたものだ。いかにも高価そうでかつ場所を取りそうなその装...... more
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by sompi1 | 2012-09-12 21:24 | 珈琲 | Trackback(1) | Comments(0)