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お座敷ロケンロール、本番

お座敷ロケンロール!にトラックバック。

 11/24、旅館明治のご主人、窪田氏が結成したバンド「69AMAZING」(←「仮」は取れたらしい)の演奏会が挙行された。特に宣伝もせず、仲間内で都合のついた人だけで、ごくウチウチのお披露目であった。




 たまたま多少電気の知識があるという事でPA周りの手伝いをする事になったのだが、ミキサーにつなぐのはヴォーカル/コーラス用の3本のマイクのみで、楽器の音はそれぞれ直接音でやる事になった。そのため、事前にセットしてしまえば本番中はノータッチで、僕は基本客席にいてよい予定だった。…まぁ、そうそう思い通りにはいかないわな(笑)。

 全曲オリジナル(確か窪田氏が書いたと聞いた)で、まだ持ち歌が30分ぐらい分しかないので、メンバーが参加する別のバンドを招いてジョイント形式での開催だった。当然ヴォーカルも窪田氏とは違う人が来て歌う。声量やマイクと口の位置関係の違いから、バンド交代時の再調整は必須になった。と言ってもやる事はフェーダの調整だけなので、ツマミの位置を記録しとけばいいだけ…なのだが、どうしたって本番になると熱も入る。リハとは音量が違ってくる。
 無人が前提で最短配線した(ケーブルの長さもギリギリだった)ため、ミキサーは舞台のすぐ下に設置した。ハウリングを逃れるため、スピーカをかなり前方に配置したため、ミキサーは客席用スピーカも舞台上のカエシからも「後方」に位置する事になる。正直、ミキサーの前に座っても音はちゃんとモニタできない。第一本番中にミキサーに僕が着くと、僕の座高より低い舞台の前に僕が後ろ向きに陣取って、お見苦しいてっぺんハゲを晒す事になる。できればそれは避けたかったのだが、そう言ってもいられない。まぁ何度かは本番中にミキサーを操作しなくてはならないと思い、リハ中に客席をうろついて卓前の音と客席の音の相関をある程度把握しておいた。素人の勘なんぞあまりアテにはならないのだが「全く歌が聞こえない」と「声がうるさくて演奏が聞こえない」のどっちにもならない程度、でお許し願うしかない。
 この会場は今年の始めに「文学シネマアワード」の付帯催事として受賞作「サウダーヂ」の上映会に使った会場である。客席の灯りは室外の配電盤で入り切りしなくてはならない。舞台の地灯りに至っては舞台の裏の壁スイッチだ。これらの操作もミキサーから手の離れた(そして、勝手知ったる)僕が走る事になるのだった。

 入り口には缶コーヒーが並んでいた。入場無料なのにワンドリンクありかよ(笑)。そしてこいつのおかげで更に「お座敷」感が濃くなるのだった。いいなあ、こういうの。
 14時スタートだから13時半と言えばお客さんが入り始める。しかし身内なのをいい事に時間いっぱいまでリハが展開していた。そしていざ開始予定時刻になっても窪田氏が現れない。彼以外の誰もが、彼の発声で本番が始まると思っていたのだが、当人は出番は後半だと安心して駐車場の整理をしていた。東京から来てくれたお客さんに呼びに行って貰い、10分以上遅れてのスタート。どっかの映画祭と丙丁つけがたいユルさだ(汗)。
 客席は在り合せの椅子席で、肘掛のある籐の椅子があるかと思えば背もたれのない丸スツールもあればソファもある。そして客席は広間の半分に設けられ、舞台と客席の間には結構広い畳の領域が設けられた。以前上映会をやった時は、映写の都合で客の頭の影ができるからと舞台の前に空間を設けたが、今回はそれ以上に広い。まぁ集める客数が少ないし、普段生でロックなんか聴く機会のない人達だから舞台に至近の爆音地帯は避けたんだと思っていた。
画像:開演前

 前半のバンド(あれ?名前覚えてないや。ごめん:汗)では窪田氏が途中で舞台の地灯りも落としてしまいなんだかキャバい雰囲気に(苦笑)。
画像:前半戦
 元々舞台の照明は蛍光灯の地灯りしかなかったのだが、あまりに殺風景だからという事で今回のためにわざわざ色セロハン張りのミニスポット(拡散光なので厳密には「スポット」ではないね)を4灯つけた。地灯りにこの色スポが加わるといい感じだねなんて言ってたのだが、地灯り落として色スポだけになるとまさにイロモノっぽくなってしまうもんだ。

 前半戦が終了したところで一旦客席の灯りを入れて休憩時間。バンドの交代ったってただ人が入れ替わるだけではない。楽器も変わるし、ミキサーの再調整もある。
 そして満を持して「69AMAZING」の登場。窪田氏は通常の旅館業務用の作務衣のまま歌い出す。辛うじて首にパーティーグッズのでかい蝶ネクタイをしている。これが「舞台衣装」なのだそうだ。
 マイクを手持ちして舞台を降りて歌いながらうろつく窪田氏。踊るわけではない。とにかく「うろつく」。舞台前の空間はこのためだったのか。
画像:踊る旅館明治
 このため、客席の灯りを前方のみ点灯した。薄暗い中うろつかれたら気味悪過ぎる(笑)。

 シャウトする窪田氏。息を搾り出すためにこの後、背中が水平になるぐらいまで身体を折り、最敬礼みたいなポーズになる。
画像:最敬礼シャウト
 背の高い人の常で、頭を低くする癖がついているのだろう。背中を丸めると肺活量が1割以上減ってしまうのでロングトーンに不利になるのだが、そんなコマかい事をとやかく言うのがロックじゃないんだろうな。
画像:歌唱中
 しかし、歌うのに夢中で曲のタイトルも言わないというのはちょっと勿体なかった。オリジナルだから自分で言わないと誰も知らないままだ。

 今日集まったお客さんに限らず、僕とて生のロックなんか聴く機会はまずない。漫然と身を曝していたら難聴必至の爆音に浸かっていると耳鳴りも起きる。音量が大き過ぎてPAでビリついてるのか耳がビリついてるのかもよくわからない(実際僕の左耳は大音量でビリつくのだ)。なのでミキサーとしてはちゃんと役目を果たせたのか正直自信がない。舞台上のプレイヤー達にもそれは評価できないと思う。お客さんの誰かの見解を(恐いけど)聞きたいところだが、殆どの人は「とにかく音がデカかった」に尽きちゃうんだろうな。じゃ、いいのか(いいのか?:汗)。

 実はこの日は僕の52歳の誕生日であった。いつもなら誕生日は親元を訪ねてごちそうをタカるのだが、今年は1日日延べしてこれに参加した。と言うとなんか恩着せがましいが、実は母の都合で日をズラしたというのが本当のところで、これがなければ予定空白の寂しい誕生日になるところだった。誕生日にこんな体験を貰えるとは、幸先いいぞ。感謝。しかも「舞台の上以外で動く者」に対する労いの気持ちが厚い人達でちょっと感動した。オトナってステキ。具体的にはさして役に立ってないのでちょっと恐縮しちゃった。
 窪田氏、今日は結構完全燃焼できたみたいだけど、これで満足せずまたやってくれるといいな。このスタイルってちょっと面白いと思うんだ。何より、この爆音体験は癖になる(!)。特にソファに身を沈めて聴いていると、不思議な事に眠くなったりするんだなこれが。いや、寝なかったよ、多分…。
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by sompi1 | 2013-11-25 03:16 | 催事 | Trackback | Comments(0)