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低音のこと

 オーディオを始めて、すぐに気になるのは高音なのだそうだ。確かに僕もそうだった。澄んだ高音、濁った高音は分かり易くて識別し易い。違いが「判る」事と「解る」事の間には大きな隔たりはあるが、少なくとも「判」らなければ「解」る事もない。判る事は大事なのだ。
 次に気になってくるのが低音。最後に中音の良し悪しを実感するようになるまでには大抵何年もかかるらしい。まぁこのあたりは自分にもちゃんとあてはまったので割と一般的なデータなのだろうし、僕自身も割と一般的な進歩をしてきたのだろう。
 しかし、高校卒業まで糸目がつきまくった予算で少しでもクオリティを得るためにパワーアンプとスピーカをすっぱり断念してヘッドホンのみで聴き込んできたせいか、一般の(やや恵まれた)オーディオファン達とは違いが生じたようだ。僕は大学に入ってリスニングルームを得るまで「身体で聴く低音」というのを殆ど知らずにきた。そのせいか耳で聴く低音の識別性が高いみたいだ。そのうえで身体に感じる低音を習得したので身体から受ける低音に対しても感じ方が違うのだろうか。それとも、僕のような聴き込みをしてくれば最初からスピーカでも今のようになっていたのだろうか。



 僕のコンセプトする「見える音」は低音に対しても結構厳しい。オーディオブームの頃には割と当たり前に使われていた「柔らかい音」「固い音」「温かい音」「冷たい音」「締まった音」「緩い音」なんていう表現は今時日常的にはあまり使わないし、使ってもシステムの固有の性格として語られる場合が多い。しかし僕の基準ではシステムに一定の傾向があるのは仕方ないとしても、音源が持つ「柔らかさ」「温かさ」「締まり」を聴き分けられる事を最低条件として求める。そして、質感。今鳴っている低音は弦なのか鼓なのかが聴き分けられないようでは「再生機」として失格なのだ。ただ「低い音が出ている」のは「発音」であって「再生」とは言わない。再生というのは音を「再現」できてナンボなのだから。
 原音再生なんていうくだらない幻想は持っていない。元の音を知っているレコード(今では主にCDだけど)なんて持ってないもの。それでもウッドベースの音がウッドベースに、バスドラムの音がバスドラムに聴こえるか、ぐらいはそれらの楽器の一般的な音を知っていれば評価できる。それ以上のフィデリティについてはその上の水準の話だ。僕は僕の耳の程に合った水準でしか考える事も語る事もできない。ただ、僕は「背伸び」というスキルを得た。長年の修行の成果で耳の識別性能も少しは上げてきたが、どうしたってミュージシャン等の耳には到底叶いはしない。だからコミュニケーション能力を鍛える事で彼らの耳を借りて、自分の耳だけで得られる以上の情報を得る。多分そうやって得られるのもせいぜい1ステップ上までなので、地力を上げなければそのまた上には届かないのだが、当面「実力以上」の成果を出せるという点では有効だ。

 密閉型へのこだわり、カウンター駆動、セラミックターンテーブルシートと外周スタビライザ、そして林道との出会いも、結構「低音」へのこだわりが拓いてきたように思う。今はヤマハASTウーファで「そこそこ」の低音を出して間に合わせているが、理想としては密閉型の単純共振系で仕上げたいと思っている。それはコスト的にも物理的にも桁違いな物量を必要とするので生きている間に納得のいくシステムを築けない可能性が高い。その点ヤマハASTウーファは既に手に入っている。ソリューションとしてはかなり好ましいと思う。

 甲府で得たオーディオ仲間M氏のNS-10Mのポテンシャルを引き出す「フル・フラット計画」はその副産物として驚くような低音がもたらされた。M氏をして「これだけ出るならスーパーウーファは要らない」とまで言わしめた。僅か18cmφの白いコーンからこれ程の低音が聴けるとは。恐るべし[当時の]ヤマハ。安易にバスレフに逃げた今の10M(の後継機)には到底出せない低音がここにはある。ざまーみろ(笑)。

 30Hzまで出るスーパーウーファがホームオーディオに必要なのか?ホームシアターならまだしも音楽用に?まぁ言ってしまえば「必要か」と問われれば「そうでもない」。しかし「無用か?」と問われればやはり「そうでもない」。
 クオリティはともかく、うんと低い音が再生できるとちょっと面白い。今夜も「充電ちゃん」なんか観てたらとんでもない低音が仕込んであって…いや、もしかするとスタジオでも聴こえてなかったんじゃないかと思う。それぐらいバランス悪く大量の低音が入っているのだ。たまに、こんなのに遭遇するとひとり「くすっ」なんてほくそ笑んでしまうのだ。

 PC用の小さいスピーカもはっきり言って低音は出ない。PCでも低音をちょっとしっかり出してやるだけで音の印象は随分違う。まじめな話、ノートPCでも充分映画のDVDが楽しめる。

正面
 そして今。当家メインシステムのスピーカはFE107Eになった(画像上はこれまで使っていたFE87の「カンスピ1号」)。107一発に2.5リッターの小開口バスレフ箱。FE103/107は小口径で低音を出すためハイコンプライアンスな上、磁気回路が強力なためQがかなり低い。FE103なんか密閉で臨界制動(Q=0.7)に設定するとエンクロージャ容量は1リッターを割ってしまう。しかし残念ながらそんな小容量に詰め込むと「駆動できない」スピーカになってしまう。ヴォイスコイルの電気抵抗のせいかアンプの力が「届かない」のだ。だから103/107は少し大きめの箱でQの低い状態で使うか、バスレフなり平面バッフルなり背面の空気を閉じ込めない鳴らし方で使うと伸び伸び鳴ってくれる。Qの高いFE83/87ならTQWTにも使えるが、正直TQWTをまともに完成させたのは世界でも林道だけだと思う。閑話休題。
 FE107E一発に2.5リッターと言えばf0は130Hzぐらい。小開口バスレフで補正しても100Hzまで出るかどうかだろう。しかしこの小さな箱でも200Hz以上ぐらいはちゃんと再生し、単体でも随分魅力的に鳴ってくれる。そこへスーパーウーファの支援が入ればこんなんでもかなり立派に「オーディオ」のクオリティで鳴るのだ。ダイトーの¥2,580の箱で。

 今はまだ理想には程遠い間に合わせシステムだが、それでもちょっとずつ歩を進めている。ゆっくり楽しもう。それが趣味というものだから。
Commented by オーディオLOVE at 2010-02-12 12:46 x
私見と己の醜さから美音を求めているのは伝わりました。
根拠無し私見と評論家の手先のような稚拙で
貧乏臭いゼネラルオーディオ好きつー所でしょうか?
機器に対しての愛情的文面はゼロ。
中卒程度の批判的文章且つ知ったかぶりの老耳ジジイ露見。
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by sompi1 | 2009-12-15 04:31 | オーディオ | Trackback | Comments(1)