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思い出のマーニー

 2014年7月28日、昭和町のTOHOシネマズ甲府にてレイトショー。




 あの「どろぼう小人」(樹木希林の台詞だったけど、これに尽きると思う)の監督作品と聞いていたので何も期待していなかったのが幸いしてか、とても好感を持った。「ジブリ史上初の宮崎駿も高畑勲もノータッチの作品」(パンフより)…って自虐的過ぎやしないか(苦笑)。
 伏線が親切過ぎるというかヒント出しまくりで、ラストの「衝撃の真実」にまるで意外性がなかったが、そこは単なる「答え合わせ」みたいなもんで特に不興を覚える程でもなかった。「あぁ、やっぱりね」という感じの後ろにちょっぴり「知らなかったのかよ!」という軽いツッコミがあった程度。むしろパンフの人物相関図が隠したいのかバラしたいのか半端で不快。
 TVアニメに慣れた耳には芝居が物足りない雰囲気はあるのだが、宮崎氏が何も言わないとしても主役級は営業優先で人選せざるを得ないのだろうし、それ前提で慣れたプロ声優で脇を固めたら主役が浮くばかり。主役ありきの環境ではむしろ全体のバランス的には正解だったと思う。もうこのへんは観る側が「ジブリだからしょうがない」ぐらいに潔く諦めて観るしかないのかな。いわゆる「声優喋り」ではないけど、みんなそれなりに芝居してたし。むしろ最近のコナンやらクレしんやらみたいにやたら浮いてる「特別ゲスト」的な人が悪目立ちする事もなく、これはこれで「クオリティ重視」だったようにも思う。でも「ホルスの大冒険」に東野英冶郎や市原悦子が出てたのは当時「声優」というカテゴリィがそもそもなかったからで、現代に頑なに「声優」を使わない理由は改めて問いたい気はするな。宮崎氏は確たる嗜好があったようだけど、米林監督は何故それを踏襲するのか。それが「ジブリの経営方針」だとか言わないよね。宮崎作品だっていわゆる「声優」を随所に使ってきたんだし。

 予告の時から思ってたけど、杏奈とマーニーの声はもうちょっとどっちがどっちか聞いて判るコントラストが欲しかった。
 一見憎まれ役っぽい信子ちゃんが意外に男前(それでいて裏に妙に少女な一面も)で、ややモンペ気味な母親と不釣合いなぐらいだった。
 登場人物のキャラ付けも(ジブリ映画にしては)そんなに濃くなく、さして大きな事件が起きるでもなく終始したが、そんな日常にこそ奇跡は潜んでいる、とちゃんとまとめてくれた。ツッコもうと思えばツッコみ所はあるけど「ファンタジーだから」で片付けておこう(笑)。そのうえで、ラストのあの一言にはグっときた。ツボ押さえてくれてるじゃん。日本人は「お約束な展開」が大好きなのだ。世界戦略作品だったらこの展開は企画会議を通らなかったんじゃなかろうか。

 ひとつ気になったのは、オルゴールとウッドベースしかいないのに、何故「アルハンブラの思い出」で踊っていたのだろう。あれってギター曲だよね。耳に覚えがあったのは「七円の唄」のイメージが強いかな。
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by sompi1 | 2014-07-29 04:23 | レヴュー | Trackback | Comments(0)