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翔べないふたり

 ハロー山梨第6回プロデュース公演。作家、藤谷清六氏ののご招待を受けて観に行った。
 藤谷氏とは徹底的なぐらい「面白い」のツボが合わない。だから当然彼の「面白い」ものは僕にはさっぱり面白くない。しかし、彼自身は僕にはとても面白い存在なのだ。だから舞台そのものよりも、その向こうにいる「彼」を楽しむ。
 いや実際の話、素直に観劇してると「この話、いつ面白くなるのかな」と思いながらカーテンコールを観る事になる。舞台そのものはチェロの素敵な生演奏とプラカードの男のちょっと面白い小芝居の合間に長い穴埋めがあるようなものだ。僕みたいな奴がストレートにこの舞台に向かうと辛いだけなのでナナメに構えざるを得ない。彼の名誉のために付言するが、僕の周囲では終始笑いが漏れていた。この芝居を「面白く」観た観客は確実に存在する。
 BのK太さんのハジケっぷりが凄かった。並の演出家なら全体のバランスを考えてひとり浮くのを許したりはしないだろう。今回の演出の水田拓氏はそんじょそこらの演出家とは一味違う。彼もまた、藤谷清六氏の作品の演出を引き受けるのだから、その面白さを解っているのだろう。僕もここばかりは満喫させて貰った。

 残念ながら「合わない」ので作品はちっとも面白くはないのだが、ここ山梨にあって藤谷清六という人物の存在意義が大きい事は感じている。それまで「劇団」というナワバリに固執しがちだった山梨の演劇界にずかずかと踏み込んで劇団の枠を取っ払ってオールスターキャストを実現してみせた。それどころかご近所の筈なのにイマイチ疎遠だった演劇界と自主制作映画界の橋渡しもした。そして、単に「世話を焼く」だけではなく、自らホンを書き、監督をし、たまには出演までして「参加」している。これまでにも「甲府の文化をどうにかしよう」ってお方は何人かいたが知る限りではちょっかいを出すだけで自分は観客席から絶対に離れない人ばかりだった。しかし、彼は自ら「やる」のだ。

 彼というつむじ風にかき回されて、山梨の演劇界に更なる新しい「風」が生まれてくるのに期待したいものだ。
by sompi1 | 2007-12-08 22:51 | レヴュー | Trackback | Comments(0)